とても小さなもの
家から松屋町筋を北に向かって歩くと、たいていの人が思い浮かべる大阪とはまるで違う一帯に入る。ここを通ると、次々とお寺の前を通り過ぎることになる。幕府の時代に、管理しやすいようにと各地から移されてきたものだそうだ。
それらの寺はとても静かで、出入りする人もほとんどいない。境内には墓石がいくつも並んでいる。寺とマンションは同じ通りに並んでいて、人はその隣に暮らし、死者もその隣にいる。
もともとそういうものなのかもしれない、と思う。死は遠くにあるのではなく、生活と一緒にある。
家に飾っていた花は枯れ、スーパーで買った豆苗は成長を止め、壁の隅には乾いてしまった小さな蜘蛛の子を見つけた。花瓶から花を取り出し、豆苗は捨てた。蜘蛛はあまりに小さくて、ほとんど重さがなく、ティッシュで拭き取ると、まるで一粒の埃のようだった。
どれもとても小さな出来事で、起きたところで誰かに話すほどのことでもない。私は生きながら、少しずつ、小さなものを失っていく。