世界へ。何を話せばいいのか、いつもわかるわけじゃない。

コンクリートの染みが広がる壁にはめ込まれた、錆びて塗装の剥げた鉄の門。柵の間から小さな白い犬がのぞいている。
高架下の大きな白い壁に、顔を押しつけるようにもたれかかる男性。
夕暮れの建物の正面に三つの窓。二つは暖かな灯りがともり、一つは暗いまま。背後には山並み。
小物やアクセサリー、身の回りの品が詰まった開いた引き出し。
団地を背に、駐車場の路地に並んで座る三人。
落ち葉の中に捨てられた、ビニールの剥がれかけたプラスチックの座席カバー。苔が生えている。
木のテーブルと椅子が並ぶ食堂の店内。奥に座る人、手前にはグラス。
川の上、カメラのすぐ近くにとまるカラス。向こうの芝生には遠く座る人々。
大きなソテツの葉に半分隠れた、天使の庭園像。
ビニールカバーのかかった服の間から見える、散らかったクローゼット。奥に小さな額入りの写真。
型板ガラスの扉とオレンジ色の郵便受けがある住宅の門。その陰から猫がのぞいている。
散った桜の花びらに覆われた公園の縁に集まるスズメとハト。
青空と雲を背にした寺の瓦屋根と塔の相輪。その根元に二人が座っている。
ベンチとハトのいる公園の広場。遠くに一人で座る人を、カップルが眺めている。
閉まった青いシャッターが並ぶ街角を、ランドセルを背負った子どもが一人で歩いていく。
木の影がまだらに落ちる倉庫の壁の前を、小型犬を連れて歩く人。
ほとんど真っ暗な石畳の道で光る猫の目。