空間はどれだけの沈黙を抱えられるか?

外壁パネルの細い隙間からのぞく、たくし寄せられたレースのカーテン。手前には雑草。
巨大な何もない漆喰の壁の前、低い石垣の上でじっと横たわる人。
ブロック塀の上に覆いかぶさるヤツデ。葉の影が下にくっきりと落ちている。
濡れた駐車場で傘を持って立つ男性。足元には釣り道具と荷物。
階段の横に立つ警察官の等身大パネル。
住んでいたメガネグマの死を知らせる貼り紙がある、空っぽの動物園の展示場。
小さな電飾が巻かれた石碑のそばで、夜に踊る男性。
ベッドで眠る患者と、大きな白い壁の前の点滴スタンドがある病室。
注意書きがほとんど色あせ、落書きで上書きされた古い公共の看板。
雨の中、道端の配電箱のまわりで傘をさしてしゃがみ込む数人。
シャッターの閉まった建物の前に、傘を持って集まる人々。
夜の通りを埋める人混み。看板やスマートフォンの光に照らされた顔。
布のバッグの横、ジャケットのポケットに入れた拳のクローズアップ。
青い樽のそばで、空っぽのホッキョクグマの展示場に一人立つ飼育員。
満開の桜の下で横を向いて立つ警備員。
ホッキョクグマの額入り写真を囲む献花。
草の生い茂る空き地の向こうに見える、夕暮れに窓の灯る家並み。
居間で待つマスク姿の二人。一人は椅子に、一人は車椅子に座り、床には買い物袋。
くすんだピンクのカーテン、使い込まれた肘掛け椅子、しおれかけた植物がある居間の一角。
レンガの通路のタイル張りの段の上で、身構えて立つ柴犬。後ろには自転車。
占い店の前で、開いた傘にほとんど隠れて立つ人。上の屋根瓦を猫が横切る。
夜、レストランの窓の外で待つ人々。ガラスには映り込みが重なっている。
テーマパークの入口で、ぬいぐるみを抱えて一人座るマスク姿の人。
がらんとしたタイル張りの地下通路で、ベンチに眠る人。
日差しを受けたカーテンに照らされた病院のベッド。休む患者のそばでモニターが光る。
並んで停まるバンの横を、低い姿勢でスケートボードに乗って通り過ぎる若者。
密集した郊外の屋根並みの上に広がる、青からピンクへと移ろう夕暮れの空。